インドからの便り:2005年6月


インドからの便り

■2005年6月17日「元気いっぱいの子ども達」高田美由希 

高田美由希さん  2005年4月の中旬からレインボー・ホームの子供達と生活させてもらって約2ヶ月。毎日40度近い最高気温の中でも、子供達は元気元気。女の子達は、年齢が近い子同士でおしゃべりをしたり、おままごとをしたり、時々お姉さん達の遊びに混じったりしています。ビジャータは小さい子と遊ぶのがとっても上手、まるで先生のように下の子に合わせて遊びます。
 男の子達はみんなでクリケット。みんななかなか上手で、日本人ルームの窓ガラスを2回割りました。小さいザベッドもお兄ちゃん達と対等にプレイします。時にはシバにもケンカを売ります。
アシスとデバシス  レインボーの子ども達は自分の思いをはっきり表現するのでケンカもしょっちゅう。よくケンカをしているのがアシスとデバシスの兄弟。デバシスは他の子とケンカをしてもそんなに泣かないのに、アシスとケンカをする時はすぐに泣きます。それも、赤ちゃんのような泣き方です。もう一組、ロヒートとルチの兄弟もよくケンカをしています。アシス兄弟ほど激しくはありませんが、よくルチが泣かされています。

 そんな兄弟ゲンカの中にも、実は嬉しい姿も混じっていました。ロヒトとルチがレインボー・ホームに来たのは去年の8月。私が初めてレインボー・ホームに訪れた時、二人は来て一週間の頃でした。まだまだ新しい環境に慣れずにいて、不安でいっぱいの表情で、大人の女の人が来るとお母さんを思い出すのか、お兄ちゃんのロヒトはポロポロ涙を流していました。すると、ちっちゃなルーチーがやって来て、お兄ちゃんの涙を拭いていました。二人は、不安だらけの新しい場所で、誰も頼れる人が居ない中、お互いに支え合い、守りあいながら、大きな不安にジッと耐えているように見えました。その頃の二人には、ケンカをする余裕はなく、自分が相手を守らなければという心境だったのだと思います。

 それから8ヶ月。二人はよくケンカをしています。叩いたり、つねったり。ルチは泣きながら他のお兄ちゃんに(デバンス、ディポック)に助けを求めます。きっと二人にとってこのレインボー・ホームが安心して過ごせる場所になり、沢山の兄弟達みんなが頼れる存在になったのでしょう。だから二人は、もうお互いだけで守り合うことなく、好きなだけケンカができるのですね。「ケンカ」ってあまり良いイメージはありませんが、言葉が分からない分、その子の心をよーくのぞいてみると、実はこんな風な嬉しいことも発見できるのですね!でも、どんなにここが安心できる場所になっても、やっぱり子ども達は愛されたいと望んでいます。

 こんなことがありました。ある日、ちょっと指を切った子が「バンドエイドを持って来い」と大いばりで言いました。血も出ていないし、何より偉そうな子どもの態度が私の心を「ノー!」でいっぱいにしました。すると今度は「他のアンティ(お姉さん)はくれたのに、お前は悪いアンティだ」と、悪口を言いました。「人に物を頼むのにそう出るか?!」と、ますます私は「絶対あげない」の心に。

 その後、顔を合わす度に「お前はバンドエイドをくれない悪いアンティだ」等、悲しくなることを言ってきます。私も大人気なくプッツンと切れて、何を言われても無視を通しました。次の日の朝も、その子は態度を変えません。眼が合う度に何か言ってきます。だから私は、その子と顔を合わせないようにしました。でも、そんなことをしている自分がイヤで、自分の部屋に戻りました。一人で考えていると、「私は何をしているんだろう。私は何のためにここに来たのだろう。子ども達を心から愛するためじゃないか」と、やっと気づきました。急いでその子の所へ行って、ぎゅっと抱きしめてほつぺにチュ。「パンドエイドいる?」と聞くと、その子は「もういらない。ごめんねアンティ」と眼にいっぱい涙をためて言いました。「私だってごめんね」と言ってしばらく二人でくっついていました。

 その子が本当に欲しかったのはバンドエイドではなく(バンドエイドも欲しかったと思うけど)「大丈夫?」と心配してくれる愛情だったのだと思います。どうか日本のお父さんお母さん、子ども達に会いに来た際は、物ではなく、子供の心にずっと残る沢山の愛を伝えてあげて下さい。
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